近畿・北陸地方会の皆様、初めてリレーブログの投稿させていただきます。本日は、私が取り組んでいる新人看護師教育についてご紹介いたします。写真は前回の松浦先生の「鹿」つながりです。野生の鹿が病院近くで目撃されたニュース映像です。見にくくてすみません。新人の技術トレーニングの1場面も添えてみました。
医療法人博俊会春江病院は地域に根ざした中小規模病院です。3年前に人材育成担当として入職し新人教育の改革を進めてきました。その中から二つの取り組みを紹介します。
まず病棟ローテーション研修です。以前から外来・手術室、併設している訪問看護ステーションのローテーション研修に加えて、今年度から全病棟ローテーションを実施しています。一般病棟・地域包括ケア病棟・回復期リハビリテーション病棟の3つの病棟を2〜3ヶ月で回り、11月から自病棟に戻ります。配属場所によって習得が偏る看護技術もローテーション中に経験でき、各病棟の役割・機能を早いうちから理解し病棟間の連携や退院支援への視点を養うことがねらいです。ローテーションのプログラムは、従来の新人教育目標をベースに作っていきました。新人のプリセプター役である新人パートナーが新人の教育目標を新人と共有する目標共有シートの振り返りから、各病棟の月別目標を立案し、そこから病棟ローテーションの目標を立案しました。昨年度の後半、1・2年目に各3週間の病棟ローテーションを実施し目標の妥当性を検討し修正を加え完成しました。現在はローテーションの1ラウンド目です。毎月実施する新人パートナー会で目標共有シートを分析したところ色々な気づきがあり、2ラウンドの目標を早速見直しています。取り組みの初年度なので、毎月の新人パートナー会でブラッシュアップして今後も進めていくつもりです。
2つ目は医師の協力で実施している勉強会です。「診療補助の基本コース」と、担当の医師が命名してくれました。実際の症例を使って、疾患や検査・治療などについてざっくばらんな雰囲気の中で医師に気軽に質問し学ぶ勉強会です。毎月2回、各診療科の医師と希望するテーマで症例を決め、プロジェクターに患者のカルテを出して行います。ここまではよくある勉強会ですが、新人と担当医師のみで、教育委員などの運営スタッフは参加しないところが違うところです。先輩看護師が同席すると恥ずかしくて訊けないことも自由に質問でき、勉強になっているようで、1年のまとめで「疾患や治療を知らなければよい看護はできない」と振り返りをしていましたし、その後病棟でも医師に質問しやすくなったと言います。運営担当は教育委員でも新人パートナーでもないスタッフが引き受けてくれ、症例を決めて周知するなど主に勉強会の準備に関わっています。
このように、新人が成長するだけでなく、新人に関わるスタッフ全てが学びの機会になるようプログラムや研修企画を作成させるなど工夫して取り組んでいます。
