新生児のドライテクニック(出生時に付着した血液や羊水、胎便などを拭き、胎脂はできるだけ取り除かない方法)において、現在用いられている用具は、新生児の皮膚への刺激、手技の困難さ、実施者の感染予防の点で課題があります。この課題を解決するための新たな用具の開発が求められています。
【写真:左(不織布を用いた顔のドライテクニック)、右(ガーゼハンカチを用いた頸部のドライテクニック)】
新生児の表皮は、大人に比べ角層が薄く、角層の乾燥傾向は、生後3日から少なくとも生後2週間まで続きます。新生児の清潔ケアとしてドライテクニック、沐浴が実施されています。生後日数によるドライテクニックと沐浴の使い分けについては、出生当日のみドライテクニックを行い、以降は沐浴を行う施設、生後4日目までドライテクニックを行う施設などがあります。
沐浴の場合、新生児の皮膚への刺激を避けるため、手でよく泡立てて洗浄することが理想的であるとされています。しかし、ドライテクニックの場合は手で実施することはできないため、用具の使用が必要です。ドライテクニックで用いる用具について、ガーゼ、綿タオル、不織布など様々な素材のリネンが用いられていますが、既存のものが使用され、新生児に適したものとはいえないという課題があります。さらに、新生児のドライテクニックにおいては、頸部や腋下など細かい部分の清拭が必要です。現在用いられている用具は、水分を含ませて絞り、細かい部分を清拭する、という行為において、実施のしづらさがあります。
そこで、新生児のドライテクニックを実施するための新たな用具を開発したいと考えています。新たな用具の開発により、新生児、実施者両者にとって安全・安楽なドライテクニックの実施につながることを期待しています。