大阪府立大学大学院看護学研究科 森本明子さん
大阪府立大学大学院看護学研究科・看護情報学分野の森本と申します。今回は、データを活用した統計的課題解決サイクルである「PPDACサイクル」について紹介させていただきます。
まず、PDCAサイクルは、1950年代にDemingとShewhartにより提唱され、第二次世界大戦後に製造業等で発展しました。ご存知の方も多いと思いますが、最初のPlanの段階で「課題に対する目標の設定や具体的な取組みの立案」を行い、Doの段階で「取組みの実施」、Checkの段階で「取組みの評価」を行います。この従来のPDCAサイクルに加えて、近年、データを活用した統計的課題解決サイクルであるPPDAC(Problem、Plan、Data、Analysis、Conclusion)サイクルが着目されています。PPDACサイクルは、1999年にWildとPfannkuchにより提唱されました。最初のProblemの段階で「課題の明確化や分析課題の設定」を行います。次いで、Planの段階で「データ収集や分析等の計画立案」を行い、Dataの段階で「データ収集」、Analysisの段階で「課題の現状把握や要因検討等のためのデータ分析」を行います。そして、Conclusionの段階で「データ分析に基づいた課題解決への具体的な取組みを提案」します。このPPDACサイクルの体系的なプロセスは、PDCAサイクルのPlan(課題に対する目標の設定や具体的な取組みの立案)を実行するために必要なプロセスです。そのため、PPDACサイクルとPDCAサイクルをあわせて展開することが重要となります。 現在、看護情報学分野では、大阪府受託事業「特定健診受診率向上プロジェクト ―効果的なプロモーションの確立に向けた提案―」の運営を行っています。大阪府の特定健診の受診率は全国と比べ低い状況で推移しているため、大阪府において特定健診の受診率向上は重要な健康課題の一つです。この事業において、まず、「データ分析に基づいた特定健診受診率向上のための具体的な取組みを提案」するために、大規模調査やパブリックデータ分析等を実施し、PPDACサイクルを展開しています。
日々蓄積されているデータの活用や、PPDACサイクル及びPDCAサイクルの活用は、より良い看護実践や保健活動に貢献すると考えています。今回は、PPDACサイクルについて紹介させていただきました。
|