神戸大学は、家族看護学のフロントランナーとして世界中で知られています。私は、家族看護学分野(小児看護学と家族看護学を担当)の教授であり、家族支援専門看護師の養成も行っています。特筆するべきは、看護理論家として、約17年の歳月をかけ、家族同心球環境理論(Concentric Sphere Family Environment Theory:CSFET)を世界で初めて提唱いたしました。そして、約650家族への家族インタビュー/ミーティング、約7万枚の質問紙調査、国内外での家族エスノグラフィーなどを経て、CSFETに基づいた家族アセスメントモデルと家族インターベンションモデルを開発、改良してきました。これらの開発論文は、複数の国際ジャーナルに掲載されており(Hohashiら、Journal of Transcultural Nursing、2011年など)、アメリカ、カナダ、香港など、世界中で研究と実践に活用されています。また、これらのモデルで使用するツールを多数開発し、その解説書も日本語や英語で出版し、世界中でその有効性が実証されています。これらの成果が認められ、International Family Nursing AssociationからInnovative Contribution to Family Nursing Award、Transcultural Nursing SocietyからTranscultural Nursing Scholar、American Academy of NursingからFellow of the American Academy of Nursing(FAAN)を授与されるなど、世界から高く評価されています。この10月には、CSFETの集大成ともいえる書籍として、『法橋ら、家族同心球環境理論への招待:理論と実践、EDITEX、2016年』を出版いたしましたので、ご一読いただければ幸いです。なお、家族同心球環境理論研究会(CSFET研究会)を毎月開催し、事例検討会なども実施しておりますので、理論に基づいた家族支援にご興味がある方は、どうぞお気軽にご参加ください。
参考URL:http://www.familynursing.org/