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研究の魅力 第2回 研究は仮説検証のプロセス2022/10/31(月) 18:26:07 RSSにてレス一覧を表示
奈良学園大学 保健医療学部 上野栄一さん
クリックにて拡大表示皆様お元気ですか。ここ奈良も朝晩寒くなってきました。久しぶりに二月堂に行ってきました。多くのカメラマンが撮影をしていました。二月堂は奈良のとても人気のある観光スポットとなっています。ここにいると、別世界にいるような感じです。
さて、第2回は、看護研究は仮説検証のプロセスであるということを述べたいと思います。

仮説検証型の研究は量的研究の代表的な看護研究デザインです。
仮説は、これまでの科学史を支えてきたとても重要な命題です。
これは現象Yがあるとすると、その前提要因には、Xがあるという考え方です。XならばYであるという仮説が成り立ちます。質的研究が仮説を生成するということは、カテゴリーが生成され、統計学的に言うと、カテゴリーが変数になることを示します。
例えばストレスが精神状態に影響を与えるということを調べる時に、最初はストレスの定義がありませんでした。この時にどうすればよいかというと、ストレスとは何かについて明確にすることから始まります。現在、ストレスの研究はかなり進んでおり、ストレスがうつ状態を引き起こすことは知られているとこですが、セリエをはじめ先人たちがストレスについて解明し、測定ツールを開発したからこそ、証明されました。このように研究には順番があります。このためには、研究テーマを決める時には、研究しょうとする概念(変数)の定義が存在していて、測定することができるかどうかによって、量的研究ができます。
このことから研究テーマや研究デザインを決める時には、文献をよく調べ、明らかにしょうとする事象の概念が存在しているかを確認することが重要となります。次に、質的研究によって生成されたカテゴリーは、複数抽出されますが、結果図では、AカテゴリーがBカテゴリーに影響を与えるということが→(矢印)で示されています。Aの事象がおこればBの事象が本当に起こるのかを検証することになります。最近は文献レビューの研究が多くなってきました。この研究デザインは研究をするにあたり、大変有用で、研究課題の探索やこれまでの研究をまとめて検証ができるメタアナリシス的な特徴をもっています。量と質は違うと思う人は多いと思いますが、実は質的研究と量的研究はつながっています。例えば、下記のような結果図があるとします。質的研究で生成されたカテゴリーは現象の概念化であり、形となっているので、量的研究によって検証ができます。その方法には、AならばBであるといった仮説を立て検証ができます。検証するための方法としては、カテゴリーA,B,C,DについてAならばB、BならばC、DならばCという仮説を検証することができます。カテゴリーの中で既存の開発された尺度があれば、その尺度を使うことができます。

Y軸は、レジリアンス、X軸は時間経過を表しています。質的研究では、結果図としてカテゴリー間の関係性を線で結ぶことができます。また、矢印で関連性を示すことができます。
図を見ると、ここには、5つのカテゴリーが記載されています。
この5つのカテゴリーは、時間にそって5つのカテゴリーが抽出され、また時間軸にそって配置されいます。これをみると仮説を示した図になっていて、量的研究でいう重回帰分析あるいはAMOS(共構造文分散分析)を表示しているようにみえます。
ここでこのカテゴリー間の関係性を実証する方法には、筆者は3通りあると考えています。1つは事例研究です。2つ目は仮説検証型の研究、3つ目は実験研究です。
看護は人間の反応を診断して、ストレングスそして看護問題を抽出して(アセスメント)、ケアを行います。アセスメントの中で人を観察して情報を得る時には、言語的なメッセージだけではなく、バイタルサインをはじめ、血清データ、心電図などの測定値も参考にしながら患者さんの問題点を同定していきます。つまり質的データと量的データを集積(プール)してアセスメントします。人間を見る時には、量的データも質的データも重要ということです。看護研究は、看護現象を明らかにすることです。そのためには、質的研究と量的研究手法の両方が重要となります。
これまで2回にわたり看護研究の特徴や素晴らしさをお話ししてきました。
最後に皆様のご健康と今後のご活躍を祈願いたします。御拝読ありがとうございました。
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