第36回近畿・北陸地方会学術集会を、3月5日にキャンパスプラザ京都で開催しました。約3年前からのCOVID-19の感染拡大に伴い、対面による地方会学術集会は暫く見合わせられていましたが、昨年10月の世話人会で、京都大学 若村智子先生を大会長に今年度の近畿・北陸地方会学術集会を開催することが決まりました。その企画と運営を手伝うことになり、開催までの5か月という短い期間で準備を行いました。従来の学会形式にとらわれることなく準備も身軽に、という若村先生の考えから、参加費なし、非会員の参加も可とし、プログラムの内容は、感染による活動制限緩和から研究活動が再開できる喜びを表し、看護研究学会の地方会という立場から「研究」というワードで、日頃の学生指導において論文作成で押さえて欲しいことと、若手の講演の場の提供を考えました。学術集会のプログラムは、メインテーマを「さあ、研究始動!」とし、2つの講演と論文執筆に関する「ガイドライン」の紹介と「ジャーナルクラブ」を企画し、研究成果を論文で報告するための知識の共有と議論の場としました。演者をどうするかでしたが、地方会世話人会の皆様に協力をお願いし、4つの「ガイドライン」と6つの「ジャーナルクラブ」、2つの交流集会の演者をご推薦頂きました。ジャーナルクラブでの文献は、日本看護研究学会誌の日本語論文から選んで頂くようにお願いしました。テーマと演者が決まれば何とかなる、という企画委員メンバーなので、仕事の合間の打ち合わせとLINEのやりとりで学術集会の当日を迎えました。
3月5日、10時の受付開始から多くの参加者があり、感染予防を踏まえ準備した3つの会場の席が概ね埋まっており安堵しました。後は、演者と参加者がそのセッションの主催者となり進めて頂くのでお任せしました。私は実行委員のため、じっくりプログラムに参加できませんでしたが、熱心に講演を聴く姿や質問される皆様の姿を拝見できました。会場ですれ違う参加者や学生から、藤井先生の信頼区間の講演は大変勉強になった、中村先生の講演はナイチンゲール病院建築の課題や貴重な資料が興味深かった、講義型や解説型の形式であったガイドラインとジャーナルクラブでは、論文はあのように話し合うことで理解が深まっていくことがわかった、ディスカッションの時間がもっとあれば、との感想を聞くことが出来ました。2つの講演は、地方会の研究セミナー活動として後日Web配信されるので楽しみです。交流集会は、中小規模病院の看護研究教育から学会発表へのシステム構築の活動紹介と、体組成計や血流計等の測定機器を使用した研究の実際と留意点で、研究者の経験や機器操作の実演を交え意見交換がされました。測定機器については、集会終了後も質疑応答が続き、生体データに関する研究に参加者の関心の大きさを感じ、このような研究成果が臨床看護師のアセスメント能力の向上に繋がるように、活発になることを期待したいと思いました。
当日の参加受付者は76名でしたが、会場の状況から100名以上の参加があると思われました。参加後のアンケート(45名)では、会員と非会員はほぼ半々で、年代別は20・30歳代が約30%、40歳代が約20%、所属は大学院生(修士・博士)が40%、教育・研究機関が40%でした。これからの看護の研究を担う若手研究者や現在学ぶ院生の参加が多く、学術集会の満足度は“大変満足”と“やや満足”を含め97.8%、今後の研究活動に活かせるかは“とても”と“やや”を含め100%でした。また、参加者からは、資料がどこにあるかわかりづらかった、各テーマの時間が不足気味でもう少し意見交換ができる時間が欲しかった等の反省すべきご意見を頂きました。一方で、興味深い分野で学習刺激を受けた、無料でいいのかというほどの質だった、参加しやすく楽しく学べた等、嬉しい感想も頂きました。入会したいとの感想もあり、本学から参加した院生も入会してくれました。今回の学術集会は、自分たちが論文査読や研究指導において、論文作成で共通認識の必要性があると感じる内容をプログラムとし、参加者の皆様の反応も良く、有益な時間を共にできたことを嬉しく思います。
最後になりますが、前日の世話人会後の食事会では、懐かしい先生方や初めてお目にかかる先生方と交流ができ、やはりこういった会もいいものだなぁと思いました。また、仕事帰りに京大に寄り、あれやこれやと言いながらの準備作業で、気が付けば日にちが変わっていたこともあり、今となっては楽しい思い出です。
いろいろ行き届かなかった点もあったかと思いますが、参加者の皆様のご協力により大きなトラブルもなく終えられたことを感謝申し上げます。ありがとうございました。次年度の敦賀での第37回近畿・北陸地方会学術集会を楽しみにしております。