日本看護研究学会主催から会員の皆様に向けて情報を発信しております。
一般社団法人
日本看護研究学会第44回学術集会
会長 前田 ひとみ
一般社団法人日本看護研究学会 第44回学術集会を2018年8月18日(土)・19日(日)の2日にわたり熊本県立劇場で開催させていただき,無事終了することができました。両日ともに快晴に恵まれ,全国から1,252名のご参加をいただき,活発な討議が繰り広げられました。素晴らしい機会を与えていただきました一般社団法人日本看護研究学会 宮腰由紀子理事長をはじめ,理事・会員の皆様,ご参加いただきました皆様,協賛いただきました企業の皆様,ボランティアなどさまざまな形でご支援いただきました皆様に心より感謝申し上げます。
今回の学術集会は,看護学で培われてきた知の波が地域・社会の大きな波に発展してほしいという想いを込めて『看護が創る変化の波』をメインテーマとし,“地域に新しい風を吹き込む”というサブテーマを加えました。今回のプログラムは,看護学という学問領域の学術的豊かさを追究するとともに,看護学の躍進と発展をもたらす若手看護学研究者育成への可能性を拓く機会となることを目指し,企画いたしました。各講師の皆様には本学術集会の企画の趣旨をご理解いただき,企画者の予想を遥かに超える学びの多い,有意義な時間をご提供いただきましたことに対し,心からお礼申し上げます。
特別講演では,世界初の抗Human Immunodeficiency Virus(HIV)薬を開発され,エイズ治療に大きな変化の波を起こされた満屋裕明先生にご講演いただきました。満屋先生は,ご自身が卓越研究者というだけでなく,国内外で多くの優秀な研究者をたくさん育て,研究の波を広げていかれています。先生の“人々の毎日の苦しみを取り除き,和らぎ,日常を豊かにするのはサイエンスである。だからこそ,サイエンティストはかっこいい。若い人達が「カッコいいサイエンティストになりたい」と夢と希望を抱く社会を作り出すことは「研究者になってしまった」人々の大きな責務の一つである”という言葉は私の心に深く響きました。さらに,本講演では,満屋先生をはじめとしたサイエンティストのエイズ治療への熱い挑戦により,HIV感染者が夢見ていた完治できる時代もそれほど遠くはないことを実感しました。
教育講演Iでは陣田泰子先生に「看護現場学」の構造と特徴についてご講演をいただきました。波を作るためには,「暗黙知」のままにせず「見えにくい看護の知の見える化」をしなければならない,その方法としてのナラテイブ・ストーリー法について理解を深めることができました。また,教育講演IIでは河村洋子先生に「ヘルスコミュニケーション」という概念についてご講演いただき,新たな看護の波を作るヒントを得ることができました。
若手研究者育成を目的としたプログラムとして,シンポジウム1「次世代の看護研究者育成の波を作る」と4題の研究方法セミナーを企画しました。シンポジウム1では,3名のシンポジストにご登壇いただき,海外での看護教育やテニュアトラック制についてご紹介いただきました。日本での若手看護教員の研究環境の状況から,看護研究者育成に向けてどのような改革をしていくべきか,今後の議論の必要性をつくづくと感じました。研究方法セミナーには,臨床の看護師の方々もたくさんご参加いただいており,これをきっかけに臨床現場での研究活動が広がっていくことを期待するとともに,臨床での研究活動の波を大きくするために,さらなる支援の方法を考えていく必要性を感じました。
看護職者の持つ叡知と知恵の波の拡がりを目的としたプログラムとしてはシンポジウム2「社会に広がる看護の力」,特別企画「熊本地震からの贈り物~くまもと復興支援ナース~」,市民公開講座「在宅での看取りを支える」を企画しました。シンポジウム2では看護職者ならではの発想をもとに,社会に波を発信されているシンポジストの創造性と独創性に感銘を受けました。市民公開講座には会場が満席になるくらいの沢山の市民の方々にご聴講いただき,関心の強さを改めて感じました。
2日目には,“くまもとサプライズ”でくまモンが特別出演してくれ,学びの場に癒しを提供してくれました。世界中,次々と自然災害が発生しており,心が痛む日々が続いています。今回,ご参加いただいた皆様には,平成28年4月の熊本地震から,一歩,一歩,着実に復興に向けた歩みを進めている,熊本の姿をご覧いただけたと思います。本学術集会を通して,熊本地震で賜った国内外から多くの方々のご支援に対する感謝の意を表するとともに,ご参加いただいた皆様のさらなる看護学の波の創造と拡がりのお役に立てたならば,学術集会長の冥利に尽きます。
最後に,学術集会にご参加くださった皆様,さまざまな形でご支援いただきました皆様に,改めて深く感謝申し上げます。
荒尾市民病院
西村 一代
日本看護研究学会第44回学術集会は,2018年8月18・19日の2日間にわたり熊本県立劇場にて開催された。テーマは,前田ひとみ会長(熊本大学大学院生命科学研究部 環境社会医学部門 看護学講座)にて,これまでの看護学研究の成果によって積み重ねられた知識を,地域や社会に向けて発信することによって,より大きな波に発展してほしいという想いが込められ「看護が創る変化の波~地域に新しい風を吹き込む~」であった。
2日間とも天候に恵まれ,日本全国(北海道から沖縄県)より大勢の参加があり,会場に熱気が感じられた。会長講演・特別講演・教育講演・シンポジウム・研究方法セミナー・ランチョンセミナーなど多岐にわたっており,一般口演・示説も多数の発表があった。また,会場である熊本県立劇場内に第1~9会場まで全て揃っており,自分が聴きたい会場への出入りがしやすく,抄録集を片手に会場移動と時間に余裕がもてた。
聴講できた一部を紹介する。
【教育講演I】横浜市立大学看護キャリア開発支援センター長 淑徳大学客員教授 陣田泰子氏による「看護現場学 看護の知,発見~創造へ」では,先生のヒストリーを聴き,自分のヒストリーを作っていく事を学んだ。また,暗黙知と形式知の違いについて,医者と看護師で説明をされた。医師は物事を形式知で考え説明する。看護は言いにくい,言葉になりにくい知であり,暗黙知の特徴である情熱的・情念的,アナログ知,現場の知である。しかし,時代の流れとともに医者も学生実習で看護や介護について経験することで,看護に近づき,看護も伝えるために暗黙知を形式知に変えていかなければならないと学んだ。さらに陣田式概念化の説明があり,臨床現場の経験から感じ考え①過去の経験の中から②現在の自己認識の原点を辿り③未来・将来へと続く学びのテーマを見通すことを経て,自己の看護の価値の体系化を目指す帰納的プロセスであると説明された。先生のパワーあふれる講演を聴き,看護へのやる気が刺激され,純粋に看護を楽しみたい。そのために学び続けることの大切さを強く感じられた。
【研究方法セミナー3】茨城県立医療大学保健医療学部看護学科准教授 富田美加氏による「よりよい文献講読に必須の文献検索スキル」では,よりよい文献講読の現実のために①学術情報探索に関する基本的知識②探索主体の学術情報ニーズ③具体的な検索テクニックといった項目で講演があった。どのような文献をどういう方法で,どのぐらい読めばいいのだろう,時間も経済的にも負担等といった理想と現実とのギャップを感じていた。講演終了後に「看護における研究」のおすすめ本を手にしたのは,私だけではなかったと思う。
【交流集会6】「これからの慢性心不全のケアと管理」循環器領域でここ数年の話題である心不全パンデミックに対する対策を各専門分野の方々により,医者の視点,専門看護師・認定看護師・訪問看護師の視点,理学療法士の視点を踏まえて講演があった。その中でも訪問看護師の方が,心不全パンデミックを迎え溢れるであろう在宅の心不全患者をどう見ていくのか,これからは訪問看護の時代がやってくる。救急看護を経験した看護師は,どんどん訪問看護師になり在宅で活躍してほしいと言われていたのが印象的だった。小さい会場であったが,立ち見が沢山でるほどの盛況ぶりであった。
最後に,私の勤務先は地方自治体病院で,2018年12月に第73回院内看護研究発表会が予定されている。前田ひとみ教授とのご縁があり,2014年より看護研究についてご指導を賜っている。今回,当院看護部からも2演題の口演発表を行った。一般演題の口演・示説には,大学関連施設からの参加が多いと考えられ参加にかなりの迷いがあった。しかし,発表会場では,さまざまな討論が繰り返され,発表が終了した後でも話が弾んでいた。「やっぱり悩みは皆一緒というのがわかりました。どこも試行錯誤しているのですね。」と,発表前は緊張していたスタッフの顔が,発表後には晴れやかな笑顔になっており,頼もしくもあり嬉しくなった。
首都大学東京
島田 恵
いきなり私事から始まりますが,熊本は私が大学4年間を過ごした場所であり,熊本県立劇場は卒業式の会場でした。熊本へは,卒業後何度も来ていますが,県劇は卒業以来でした。そして,大会長の前田ひとみ先生は,私の卒業研究をご指導いただいた先生です。その先生が掲げられた学会テーマは「看護が創る変化の波」であり,抄録集の「挨拶」には「看護学という学問領域の学術的豊かさを追究するとともに,めまぐるしく変化する社会に求められる看護学の躍進と発展をもたらす若手看護研究者育成への可能性を拓く機会となることを目指し」企画したと述べられています。そして「次の研鑽の場になることを祈りながら」と結ばれているとおり,大学教員・研究者のみならず大学院生等にも大変有意義な数々のセミナーが企画されていました。実は,本学会学術集会への参加は本当に久しぶりでしたので,今回は,発表(共同演者)はもちろんですが,多彩なセミナーで勉強するつもりで参加しました。都合により初日は午後からの参加となったため,会長講演と特別講演は拝聴できませんでした。しかし特別講演「HIV感染症とAIDSの治療薬の研究と開発:What is Success?」に登壇された満屋裕明先生は,私がHIV/AIDS看護を専門とするコーディネーターナースとして実践に携わっていた頃から存じ上げている先生であり,その講演の熱さは知っています。聞かれた方々から耳にした感想も面白かった,興味深かった等,大変好評であったと思います。医師,看護師と職種は違っても,目指すものに真摯に向かう姿勢やあきらめない情熱などは,大いに参考に,刺激になったと思います。
午後のプログラムからは,研究方法セミナーI「英語論文の書き方─全体構成,文献のまとめ方,分かりやすいグラフの作成方法」(牧本清子先生)を選びました。他の看護系学会や本学でも,国際化,英語論文の執筆やプレゼンテーションの技能向上が課題となっており,カリキュラムの内外でどのように組み込み,教育していくか課題となっています。この課題の前提には,日本語で論文を書く,プレゼンテーションするという技能はどうなのか?そして,英語論文を書くために英語論文をたくさん読むということができているのか?ということがあると思います。そういう意味では,牧本先生のパワーポイントのタイトルが「(英語)論文の書き方のプロセス─まずは日本語で書くプロセスの紹介─」に変更され,冒頭「英語力の不足をどう補う」として英語論文の多読,しかも解析しながら読むことが書く力を磨くことであるというお話からスタートされたのは,大変納得できました。そして,(英語)論文の書き方のプロセスを具体的に解説下さり,大いに参考になりました。学生に取り組ませるには,それが当たり前の雰囲気や環境が必須だと思います。学生にどのように取り組ませるか考えるなら,教員が自らの行動をもって範を示さなければならないと,改めて思いました。
またポスター会場では,共同演者として発表者(久野暢子先生)とともにポスター「HIV陽性者へのセクシュアルヘルス支援における経験の浅い看護師の困難」の前に立ちました。テーマのマイノリティ性からか,日本エイズ学会以外の学会では,発表に対する反応があまり得られないことも多いのですが,性教育や倫理などの近接領域を専門とする教育者,研究者の方々と意見交換する機会に恵まれました。また,研究の内容だけでなく,研究手法に関する情報交換では,質的研究の新たな取り組みに関する情報が得られ,今後チャレンジしてみようかと考えています。これも,この学会が「看護研究」を基盤とした幅広いテーマを扱っていることによる利点ではないかと思います。
2日目は,同じく共同演者として発表者(同上)の一般演題口演「HIV陽性者へのセクシュアルヘルス支援における経験豊富な看護師の困難」に同席しました。質疑応答では,研究背景となっている医療体制に関する質問をいただき,発表者に代わり現状に詳しい立場から回答させていただきました。セッション終了後,私がコーディネーターナースとして実践を行っていたのと同時期に,とあるエイズ診療拠点病院の看護部長でいらした座長の先生からお声をかけていただきました。もう10年近く前のことになりますが,拠点病院としての役割を院内の看護を拡大する好機ととらえ取り組まれていたというお話は,拠点病院体制における看護の進展に難渋していた者としては,大変ありがたいお話しでした。さらに,外来看護の重要性が増大する現代におけるHIV/AIDS看護の意義を改めて気づかせていただきました。本当に嬉しい再会であり,やる気をいただくことができました。その勢いのままに,今回発表した研究(質的研究)の次の段階の研究計画(量的研究)について,発表者とともにロビーの片隅で研究の打ち合わせを行いました。日ごろ,メールや電話でも打ち合わせをしていますが,直接会って意見交換できるこのような機会は貴重です。発表を終えてホッと一息つきながら,次の調査票作成や倫理審査について確認しました。私達だけでなく,会場内の至るところで同じような光景を目にしました。また次回の学会に向けて研究を進めていきたいと思います。
午後は,次なる研究の関係で研究方法セミナー4「尺度開発の留意点と落とし穴」(鳩野洋子先生)を選びました。質的研究から量的研究へと進めるために,確認しておきたいことが数点あったためです。鳩野先生ご自身の研究経験から具体的にお話し下さり,会場内には大学院生と思われる方々の姿も見受けられました。その後,ある方を介して鳩野先生に質問をさせていただき,回答をいただくことができました。これで確信をもって研究の手順を進められます。セミナー参加を通じて情報や人的資源が得られることは,専門家が集まる学会ならではですね。忙しくとも参加することに意義がある,と思わされます。その後,発表者と別れ帰路につきました。久しぶりの,しかも懐かしの地での学会は,大変有意義でした。学会の企画,準備から当日運営と携わられましたすべての皆様に感謝申し上げます。市内中心部からのアクセスが決して良いとはいえませんでしたが,それを補って余りある皆様のホスピタリティーを感じました。
最後まで私事で恐縮ですが,実は宿泊したホテルロビーで偶然にも大学時代のサークルの仲間とばったり遭遇。卒業以来の再会でしたが,お互いにすぐ分かりました。なぜここにいるのか尋ねたところ,これからサークルの40周年記念パーティーがあるというではありませんか。私は宛先不明となっていたため,その案内をもらえなかったようです。「申し込みしとらんでもよかよか,一緒にいかんね(申し込みしてなくてもいいよ,一緒に行こうよ)」といわれ,連れられてパーティーに参加し,サークルの仲間達と思いもよらず旧交を温めました。みんなそれぞれに頑張っており,刺激を受けました。2日目の学会参加に対するやる気が高まったのは言うまでもありません。
聖マリア学院大学看護学部
鶴田 明美
第44回学術集会は,2018年8月18日・19日に2日間にわたり,熊本県立劇場において開催されました。本学術集会のテーマは「看護が創る変化の波~地域に新しい風を吹き込む~」でした。この度は実行委員として参加させていただきました。故郷熊本での開催に感慨深さとともに気持ちが昂りました。学会前日,会場となった熊本県立劇場に運営・実行委員が集結しました。かつてご指導をいただいた先生方や共に学んだ学友たちとの再会に心が弾みました。ご参加くださる方々に熊本の地での学術集会を有意義なものとして感じていただけるよう,心を尽くして任にあたろうと思いました。そこで今回は,実行委員としての任務を通した印象記を記したいと思います。
最初に,前田ひとみ先生による会長講演「看護が創る変化の波」を拝聴いたしました。先生は,ご専門である感染管理を主軸としてご講演されました。その中で,現況の手指衛生に関する研修や掲示物による啓発など,医療関連感染予防に向けた介入はいずれも一時的な効果にとどまっているという課題を提示されました。さらに,施設の課題に対し,できていないことに着目し外部の成功例を持ち込みトップダウン方式で改善しようとするProblem based approachの限界を指摘されました。一方,欧米では何ができるかという視点で集団の中での良い行動を発掘し,解決法を探るというPositive deviance approachによる感染管理が効果を上げていること,熊本地震の際,避難所でのボランティアによる手指消毒剤塗布の実例などをご紹介されながら,これまでの主流であった“何が問題か”という視点から“いかにそれをやるか”という視点への転換の必要性について述べられました。ご講演を拝聴し,これまでの自分は,事象を視るとき多角的視点と言いながらも一方的にしか視ていなかったのではないかと顧みる機会になり,今後の研究活動における重要な示唆をいただくことができました。
会長講演に続き満屋裕明先生の特別講演「HIV感染症とAIDSの治療薬の研究と開発:What isSuccess?」を拝聴いたしました。満屋先生は世界初の抗HIV薬を開発され,その後も新薬の開発に取り組まれエイズ治療に多大な貢献をされています。先生は,HIVやAIDSの機序,抗HIV薬の開発までの過程について,研究室でのエピソードやジョークを交えながらご講演され,どんどん引き込まれていきました。抗HIV薬について,私は現在においても,どの薬剤であっても一定時間毎にきっちりと内服する必要があり,たとえ就寝中であっても内服時間になったら起床して内服しなければならないという認識でおりました。しかし,現在では1日1回の服用で効果が期待できる薬剤が開発されているとお聴きし,驚きとともに自分の知識不足と認識の低さを痛感し猛省しました。
先生のお言葉の中で強く印象に残った言葉があります。「ひらめき」と「イノベーション」。先生は,イノベーションの発想の原点はひらめきであり,HIVの正体を知り尽くすことでひらめきを得たと話されていたように思います。さらに,既存の概念にとらわれず,創造し,新たな方向に進み,新たな価値をつくることがイノベーションであると。研究対象に対する強い関心と探求,追求が新たな発想を生み革新につながることを教えていただき,自分の研究姿勢を問い直すとともに前進する活力をいただけた好機となりました。
午後は,首藤 剛先生による看護薬理学公開セミナー「免疫学の視点から薬を考える─患者さんに自信を持って助言できる看護師となるために─」と,森山ますみ先生による学会特別企画2国際活動推進委員会企画「グローバル人材としての看護職者育成を進める国際医療福祉大学成田看護学部の試み」の運営を担いました。首藤先生のご講演は,公開セミナーということもあり一般の方や看護学生の方が多数参加されており,メモを取りながら聴講されている様子を後方から拝見し,免疫学や薬に関する意識の高さを感じました。また,森山先生は学部のカリキュラムや国際看護関連科目の内容など実際的な内容をご提示になり,その内容をふまえ今後のカリキュラムの在り方等について参加者の方々と踏み込んだ討論をされていらっしゃいました。参加者の方から,「国際看護」として独立した科目を立てて教育を行うということも人材育成としては重要ではあるが,今後はどの領域においても共通して国際的な視点をふまえた教育を行うことが重要ではないか,というご意見が出されました。看護の国際化が必然とされている現在,すべての研究者や教員,実践者が国際的な視野を基盤に自分たちの研究や教育,実践を組み立て,実行していくことが今後の人材育成につながるのだと感じました。両先生のご講演ともに無事に終えられ会場責任者として安堵するとともに新たな見識を得られたことに悦びを感じました。
学会2日目は,演者・座長受付を担当しました。受付を担いながら担当の先生方と教育や研究の情報交換ができ有益な時間を過ごすことができました。受付業務が一段落した後,ロビーフロアーでの対応をしました。ロビーに居りますと,かつての勤務先の上司や同僚がお声をかけてくださり,お互いの近況を語り合う楽しい時間を持つことができました。昼の時間帯には,くまモンが応援に駆けつけてくれました。参加者の方々がくまモンを囲み笑顔になっていらっしゃる様子を拝見し心が暖まりました。示説会場では,発表者と参加者の方々が活発な討論をされており研究にかける熱意と関心の高さを感じました。若手の研究者の方々も多数発表され,次なる研究成果の発表に期待が膨らみました。同時に,自分もうかうかしていられないなと自らに活を入れました。
学会閉会後,帰路につかれる参加者の方々をお見送りした後,学会運営に携わった仲間たちは,疲れを感じながらも晴れやかな表情に見えました。私自身も2日間の緊張が解け,心地よい疲れを感じながら帰路につきました。帰路の途中,車窓から見える街並みを見ながら,相次いだ自然災害によって避難を余儀なくされている多くの方々が一日でも早く日常を取り戻されるよう願いました。被災された方々や被災地の支援を続けていらっしゃる多くの方々にも思いを馳せました。
今回の学会での参加者の方々や運営・実行委員の方々との交流を通して,こうして学会に参加できたことへの感謝とともに,これからの責務に気持ちが引き締まる思いがいたしました。
あらためまして,今回の学術集会を企画・運営くださいました前田ひとみ会長をはじめとして,学会前日から閉会に至るまで尽力されました運営委員・実行委員の皆様方に心より感謝を申し上げます。
会長講演
ポスター会場での熱心な情報交換
くまモンの訪問もありました。
市民公開講座「在宅での看取りを支える」にもたくさんの市民のご参加がありました。