
日本看護研究学会主催から会員の皆様に向けて情報を発信しております。
一般社団法人
日本看護研究学会第50回学術集会
会長 上野 栄一
日本看護研究学会第50回学術集会は令和6年8月24日(土),25日(日)と2日間にわたり奈良県コンベンションセンター(奈良市)で開催されました。本学術集会では900名以上のご参加をいただきました。無事盛会のうちに終了することが出来ましたこと感謝申し上げます。さて奈良県は,日本のほぼ中央部に位置し,「古都奈良の文化財」としてユネスコの世界遺産に登録され,素晴らしい文化財があります。東大寺,薬師寺,平城宮跡,さらに忍性,叡尊,鑑真が活躍した看護の原点となるケアがあります。また奈良は古くからシルクロードを通し紀元前2世紀から15世紀半ばまで活躍したユーラシア大陸の交易路網でもあり東西の多くの交易品や文化等の交流があります。第50回学術集会を奈良で開催できましたこと大変嬉しく思っております。本学術集会を通して,奈良の文化にもふれていただけたと存じます。本学術集会でご協力いただいた事務局,企画委員,実行委員,ご参加いただいた皆様,協賛いただきました皆様方に深く感謝申し上げます。
学術集会の主な企画内容は次の通りです。
会長講演「発祥の地から未来を拓く看護研究~進化する研究~」上野栄一,基調講演(大会特別講演)「日本最初の法治国家に何を学ぶか」森本公誠(東大寺長老),特別講演「これからの健康的な生活を見守る先端テクノロジー」才脇直樹(奈良女子大学研究院工学系工学領域),特別講演(市民公開講座)「すべての人に星空を-「病院がプラネタリウム」の実践」高橋真理子(星つむぎの村代表),教育講演I「大学教育としての看護教育を改めて考える-昨今のウェルビーイングの視点も踏まえて」溝上慎一(学校法人桐蔭学園理事長),教育講演II「看護の知の普及-ある出版社の試み-」井部俊子(井部看護管理研究所代表),特別企画I「未来に羽ばたく若手:課題を可視化し未来を拓く」板谷崇央(京都大学大学院医学研究科)飯田真子(東京大学大学院精神保健分野),特別企画II「生を受けた子どもたちの笑顔輝く~ソーシャルサポートで開く未来~」赤﨑正佳(奈良県産婦人科医会会長 赤崎クリニック理事長)・中上 幸(奈良県立医科大学附属病院看護師長)・橋本 綾(奈良県立医科大学附属病院看護師長)・佐藤拓代(母子保健推進会議会長),シンポジウムI「予期しない体験は今後にどう生きるか」酒井明子(福井大学名誉教授)・茅野龍馬(WHO神戸センター)・神原咲子(神戸市看護大学災害看護・国際看護学),シンポジウムII「DXを活用した若手研究」平 和也(京都大学 地域看護学講座)・堀池 諒(大阪医科薬科大学 公衆衛生看護学),シンポジウムIII「研究の芽を社会の発展へと開花する」井川順子(京都大学医学部附属病院)・丸山美津子(兵庫県看護協会会長)・江川隆子(関西看護医療大学学長),50周年企画I JSNR50周年記念座談会「古きを訪ねて新時代を拓く」工藤せい子(弘前大学名誉教授)・山口桂子(愛知県立大学名誉教授)・深井喜代子(岡山大学名誉教授)・吉永尚紀(宮崎大学)・佐藤正美(東京慈恵会医科大学),50周年企画II パネルディスカッション「地方会の歩みとこれから」北海道地方会:山田律子(北海道医療大学)・東海地方会:白尾久美子(日本福祉大学),近畿・北陸地方会:若村智子(京都大学)・中国・四国地方会:中西純子(愛媛県立医療技術大学)・九州・沖縄地方会:長家智子(元佐賀大学)・学術集会企画「万葉の星空」嶋田理博(奈良学園大学),看護薬理学セミナー 共催日本薬理学会:ウイルス感染症に対する生体の応答-ワクチンの影響-今井由美子(医療法人徳洲会野崎病院附属研究所メディカル感染システム研究部長),緊急特別企画「被災地からのメッセージ 能登半島地震における看護活動の実際について」千島佳也子(国立病院機構本部厚生労働省DMAT事務局)・髙見知世子(金沢医科大学病院看護副部長)・出口 好(金沢大学附属病院看護部)・油野規代(福井医療大学保健医療学部)・近藤やよい(福井医療大学保健医療学部)などの多彩な講演,シンポジウム,くつろぎタイム 笑いセミナー,委員会企画,ランチョンセミナー,協力講演,市民公開講座があり,交流集会,一般演題(口演・示説)発表もとても活発な意見交換がなされました。また,50周年の特別な企画としてオープニングに本学のマーチングバンドの演奏,そしてランチタイムや懇親会でのプロのカルテットの演奏を企画し,多彩なプログラムで第50回学術集会にふさわしい学会となりました。
最後に第50回学術集会のテーマ「発祥の地から未来を拓く看護研究」とあるように,今後のますますの日本看護研究学会の発展,そして,皆様のご健勝とご活躍を祈念してご挨拶といたします。ありがとうございました。
第50回の記念大会となった本学術集会は,「発祥の地から未来を拓く看護研究」と題し,今までの看護研究学会が社会の課題と向き合い社会の発展に寄与された足跡を辿り,これらの社会のニーズを見据えて未来を拓く研究について視野を広げる学術集会を目指しました。
メインホールでの若手の研究発表は,最も多くのご参加を頂き,既存に囚われない広い視点での取り組みに期待があることを感じました。また,学術集会会場内での昼食タイムは交流と寛ぎの時間として,コンサートやお笑いライブを導入するなど,新たな試みも始めました。
学内企画や実行委員として力を注いで頂きました2名の会員にメッセージを頂きました。
2023年8月,宮崎県立看護大学の同窓生である蓮池先生から私宛に一通の連絡が届きました。「本学で日本看護研究学会の実行委員を担当することになった。当日の運営を手伝ってほしい」という内容で,学術集会の運営に関わることができる喜びと不安の両方がありましたが,受付や座長としてならお役に立てるだろうと二つ返事で承諾しました。その後,しばらくして「自分は会場全体の統括を任されることになった。永江先生には第1会場の統括をお願いしたい」という連絡がありました。正直なところ,自分には荷が重すぎると感じ,一度はお断りしようと思いましたが,奈良学園大学の先生方が開催準備に奔走されている様子を聞き,少しでも貢献できるのであればと考え直し,引き受けることにしました。
奈良学園大学には7月と学術集会前日に訪問させて頂き,大会長である上野先生,実行委員長である西薗先生をはじめ,企画・運営担当の先生方との交流を持たせて頂きました。奈良学園大学の先生方は,開催直前まで数々のトラブル対応に追われ,学会当日も休む暇なく奔走されていましたが,外部から実行委員として参加していた私たちにも細やかな配慮をしてくださり,丁寧に対応してくださいました。
第1会場の運営は,私を含め他県から参加している教員による混成チームであり,学会当日に初顔合わせと打ち合わせをするという状況でした。私の当日の管理運営が不十分だったため,参加者からの厳しいお叱りを受けることもありましたが,スタッフ間で協力し合い,大きなトラブルもなく無事に役割を終えることができました。
私は普段,精神看護学に関連する学会に参加することが多く,本学会への参加は初めてでした。私は,第1会場の担当だったため,メインの講演を最前列で聴講することができ,「これまでの看護研究の変遷」と「これからの看護研究の発展」について,1つの流れとして学ぶことができました。また,東大寺長老による講演や「病院がプラネタリウム」という実践活動など,看護とは異なる視点から得られた知見は,私の看護学研究者としての視座を高めるものとなりました。さらに,蓮池先生が企画したホストクラブへの支援やお笑い芸人との協働という斬新な取り組みにも多くの方々が関心を持ってくださり,この分野における研究や実践に確かな手応えを感じることもできました。
今後,学術集会に参加させて頂く際には,穏やかな気持ちで好きな講演を聴講できる喜びと,学会を運営して下さる実行委員の先生方へ労いと感謝を忘れずにいたいと思います。
大会2日目の昼食時間に「くつろぎタイム お笑いセミナー お笑い芸人の笑いの作り方と笑いが作るコミュニケーション~お笑いライブを添えて~」という企画をしました。関西ならではの企画を何か提供できないかと実行委員長をはじめ企画委員で検討した結果,リアルなお笑いライブを体験していただこうとの思いで準備いたしました。開催直前まで,学術集会という場に相応しいのか,遊びだけの企画になってしまわないのかなど,企画者として多くの不安と葛藤を抱えながら当日を迎えました。
お招きしたのは,大阪を中心に東京でも活躍されている大阪男塾(現サンズ)です。前半は大阪男塾のリーダーでネタを作られている塾長から「ネタの作り方」「ボケとツッコミ,フリ」についてお話がありました。失敗などのネガティブ要素こそがネタの種になるとのことで,ネガティブな出来事を笑いにすることでポジティブ要素へと変換し,それによってネガティブなことも受け入れていけること。また,「フリ」を作ることによって,それがコミュニケーションのポイントとなること,失敗やネガティブなことを昇華できるようにツッコムことによって救われること,そのツッコミを受け入れることでお互いを受け入れさらに関係性が深まることなど,お笑いのプロの視点での話は,我々,対人関係職である看護師に大きな示唆を与えてくれました。
その後は,大阪男塾の漫才の生で観劇で会場は大爆笑となりました。多くの参加者からは「初めて生で漫才を見た」「お笑い初体験でした」など,お笑い文化が地元に根付いている関西の文化に少しでも触れることができていたようでした。
最後の企画は,「実際に漫才をやってみよう」とのことで,大阪男塾のメンバーと組んで即興で漫才を行いました。学生,院生,大学教員などがチャレンジし,緊張しながらも見事な漫才を披露し拍手喝采でした。
会場には立ち見の方もでて,入場できない方もいらっしゃるぐらいの大盛況で盛り上がり終えることが出来ました。これまでにない学術集会の企画として今後も企画していければと思います。
日常生活においては起こることは変わらないからこそ,おもしろいに昇華し受け入れたうえでイジル。
笑いは,若返り効果,ストレスを貯めない,免疫が上がるなどの健康にも大きな効果がある。
これからも,「お笑いと健康」をテーマとした企画に取り組んでいきたいと思います。興味がある方,企画をしてみたい方など,ご連絡いただければ大阪男塾とともに駆けつけます。