東海地方会からのニュースレターを掲載いたします。
2009.11.1発行
去る2009年3月14日(土)
第13回日本看護研究学会東海地方会学術集会が藤田保健衛生大学オーディトリアム500(愛知県豊明市)に於いて開催されました。
第13回学術集会会長:天野瑞枝教授
(藤田保健衛生大学医療科学部看護学科:2008年4月より学部名称変更)
「入会手続き」および「所属等の変更届」は、地方会事務局では取り扱っておりません。日本看護研究学会事務局(千葉:043-221-2331)へご連絡下さい。
学術集会のテーマは、「看護におけるナラティブの活用」です。ナラティブに関する多く著書のある斉藤清二先生は、基調講演で医療におけるナラティブの定義やナラティブアプローチについて私達に道しるべを示してくれました。「医療とは、患者の苦しみを少しでも和らげようとして主体的に関わる実践であり、患者の苦しみに共感し、その共感に動かされて実際に行動することが医療者には要求される。(中略)患者の物語を聴き取り、尊重し、解釈することを通じて、患者の苦しみに共感し、共有された物語に動かされて患者のために行動する(中略)」について、具体的なお話を伺うことができました。
教育講演の佐藤紀子先生からは、「語りから得られる看護師の臨床の知」について、20年という経験豊富なベテランの臨床看護師が、日常的な毎日の臨床の中で患者さんを支えている時のナラティブを通して見えてくる「看護師の臨床の知」についてお話頂きました。
ワークショップⅠでは、大久保功子先生から「ナラティブを研究に活かす」ための理論や研究方法、具体的なインタビュー方法や分析方法についてお示し頂きました。ワークショップⅡでは、江口昇勇先生から「人の話を聴くということ-傾聴における魂の傷つきと癒し-」について、敵を知り己を知る方法についてわかりやすく、時々辛口も交えた楽しいお話を伺いました。ワークショップⅢでは、笛をつくり吹くことが趣味の域を超えている久保田新先生から、行動アレンジメントについて、笛を題材に用いて看護師が多く使う「行動変容」という言葉の使い方に疑問を投げかけながら、生活行動の科学である心理学の立場から行動アレンジメントについてのお話頂きました。
癒しのミニコンサートでは、前木寛子先生自ら「がんによって片耳の聴力を失い」フルート奏者として生きがいそのものであった音楽も同時に失い、苦しいばかりの毎日で経験したことのない困難から、再び、音楽の持つ「癒し」と「希望」が自分に「生きる力」を与えてくれたこと、そして色々な思いを持っている人々の心に音楽を通して寄り添うことができた経験をフルート演奏とともにお話くださいました。多くの皆様のご参加を頂き感謝申し上げます。
学術集会では、藤田保健衛生大学の天野瑞枝先生を始めとする実行委員の方々の、配慮の行き届いた会場運営のもと、学術的に非常に興味深い内容を堪能させていただきました。「看護におけるナラティブの活用」というテーマに則った教育講演やワークショップでは、難しいことを分かりやすく、さらに面白くお話いただき、多くの参加者と一緒に、時に爆笑、時に涙しながら、学ばせていただきました。
医療者は、「患者の物語を聴きとり、尊重し、解釈することを通じて、患者の苦しみに共感し、共有された物語に動かされて患者のために行動する」一方で、「聴くことは、聴き取る側にとっては傷つき体験」であり、そのことによる反動を生じさせないよう、「自己一致を前提とした傾聴」が重要で、たえずセルフモニタリングをする力が必要であることに、今更ながら気づかされました。
また、ナラティブの学問的背景を深く知ることによって、学際的な視野で看護研究を位置づけることが必要であることや、看護師に語ってもらうことで、「看護師の臨床の知」が見えてくることを、研究の成果から教えていただき、たいへんな感銘を受けました。
一般演題は、実践や教育の現場での試行錯誤が目に見えるようで、雑多な現実の中で、何か一つを注視してまとめあげることの大切さを改めて感じました。示説会場から主会場に向かう際、美しいフルートの音に魅せられ、会場をそっと覗きましたら、音楽に身を任せておられる参加者のみなさんの何ともいえない豊かな表情に、なぜか圧倒されました。「聴く人」の存在の素晴らしさを垣間見た気がし、このような表情に誘われて、「語る人」は朴訥に、あるいはこの音楽のように、物語を語り始めるのだろうと思われました。
渡邉会長を始め、世話人会の諸先生方や実行委員の皆さん、ご発表者の方々が、この学術集会のために使われたたくさんの時間のことを想い、本当に貴重な時間をいただいたと、ただただ感謝した1日でした。本当にありがとうございました。
開催日時:2009年3月14日(土)12時~12時30分
開催場所:藤田保健衛生大学オーディトリウム500
書記:米倉摩弥
1)第12回日本看護研究学会東海地方会学術集会開催
平成20年3月15日(土)ミッドランドホール(名古屋)
2)日本看護研究学会東海地方会ニュースレターvol.12発行
3)第13回日本看護研究学会東海地方会学術集会開催お知らせ発行
4)世話人会の開催
第1回 平成20年3月14日(金)名古屋市
第2回 平成20年8月21日(木)神戸市
5)第1回セミナー開催
平成20年1月19日(土) 藤田保健衛生大学にて
-リンパ浮腫の病体と保守的リンパ浮腫療法の実際-
プランナー:天野瑞枝(藤田保健衛生大学)
6)第2回セミナー開催
平成20年8月9日(土) 名古屋第二赤十字病院にて
テーマ:「看護研究への取り組みの実際」
-質的研究をはじめる第1歩にしよう!-
プランナー:市江和子(聖隷クリストファー大学)
1)会計収支報告
2)会計監査報告。
1)第13回日本看護研究学会東海地方会学術集会の開催
2)日本看護研究学会東海地方会ニュースレターの発行(vol.13)
3)第14回日本看護研究学会東海地方会学術集会開催お知らせの発行
4)世話人会の開催
5)第1回セミナー開催
1)会計収支原案
・学術集会長:天野瑞枝(藤田保健衛生大学)
・会期:2009年3月14日(土)
・会場:藤田保健衛生大学(愛知県豊明市)
・学術集会長:白尾久美子(静岡県立大学)
・会期:2010年3月20日(土)
・会場:静岡県立大学
平成21年度第1回セミナーについて
テーマ:排泄リハビリテーションのケア技術セミナー
日時:平成21年8月22日(土)10:00~16:00
会場:三重大学医学部看護学科棟
プランナー:高植幸子(三重大学医学部看護学科)
以上7つの報告・審議事項について、拍手をもって承認された。
会長 | 渡邉 順子 | 聖隷クリストファー大学 |
---|---|---|
副会長 | 天野 瑞枝 | 藤田保健衛生大学 |
会計 | 白尾久美子 | 静岡県立大学 |
会計 | 足立みゆき | 岐阜大学 |
会計監事 | 泊 祐子 | 岐阜県立看護大学 |
会計監事 | 藤井 徹也 | 名古屋大学 |
幹事 | 市江 和子 | 聖隷クリストファー大学 |
幹事 | 大村いづみ | (有)ナーシングオフィスSAHLA |
幹事 | 大津 廣子 | 愛知県立大学 |
幹事 | 大西 文子 | 藤田保健衛生大学 |
幹事 | 柿原加代子 | 豊橋創造大学 |
幹事 | 三上 れつ | 慶應義塾大学 |
幹事 | 山口 桂子 | 愛知県立大学 |
幹事 | 城戸 滋里 | 北里大学 |
幹事 | 高植 幸子 | 三重大学 |
幹事 | 篠崎惠美子 | 聖隷クリストファー大学 |
開催日時: 2010年3月20日(土)10:00~
開催場所:静岡県立大学看護学部(静岡市)
テーマ:今考える、職場における心の健康
参加費:会員3000円 非会員4000円
アクセス:JR東海道線(普通)草薙駅下車バス草薙団地行き(三保草薙線)「県立大学入口」下車 約5分
詳細につきましては同封のちらし、もしくは日本看護研究学会東海地方会ホームページ等をご覧ください。
★できる限り事前の参加申し込みをお願いいたします。事前参加数が多いときは、当日参加をお断りすることがあります。あらかじめご了承ください。
★2010年 東海地方会セミナー 計画中!
詳細は決まり次第HPに掲載いたします。
★第15回 日本看護研究学会東海地方会学術集会
2011年3月19日(土) 北里大学で開催予定です。